セーリング

セーリング

セーリングのピクトグラム

オリンピック競技

セーリング

大海原のレースを制するカギは、自然との共闘。クルーがひとつなったとき、船に命が宿る。

競技概要

セーリングのオリンピックにおける歴史は古く、第2回パリ1900大会から実施され、アトランタ1996大会までは「ヨット」の呼称、シドニー2000大会から現在の「セーリング」が競技名となっている。

ヨットはオランダで発祥し、輸送や連絡などの実用目的で活用されていたが、1660年にイギリス国王とヨーク公が初めてヨットレースを行ったのがスポーツとしてのヨットの起源といわれている。その後ヨット競技はおもに上流階級のレジャーとしてヨーロッパ諸国に広まり、大陸を渡ってアメリカなどにも伝わった。20世紀半ばになるとアメリカでウィンドサーフィンが盛んになり、ロサンゼルス1984大会からヨット競技の一つとしてウィンドサーフィンが種目に加えられている。

種目

  • RS:X級(男子/女子)
  • レーザー級(男子)
  • レーザーラジアル級(女子)
  • フィン級(男子)
  • 470級(男子/女子)
  • 49er級(男子)
  • 49erFX級(女子)
  • フォイリングナクラ17級(混合)

ESSENCE OF THE SPORT/競技の魅力、見どころを紹介!

自然環境との「共闘」が勝利を呼ぶ レースのダイナミックさは必見

セーリングの選手

海面で実施され、自然環境によって大きく試合展開を左右される競技の一つ。レースは、海面に設置されたマークと呼ばれるブイを決められた回数、決められた順序で回りながら、フィニッシュラインまでの着順を競うもの。種目は使用する艇(ヨット)の種類によって分けられ、どの種目もフィニッシュの順位の高いチームほど低い点数がつく。このレースを10〜12回行い、その合計点数の低い10艇が「メダルレース」と呼ばれる最終レースを戦うことができる。このメダルレースで最終順位とメダリストが決まる。

大きな三角形を描くコースで、艇は3方向からの風を体験した後、フィニッシュラインに到達する。必ずしもコースに沿って艇をまっすぐに走らせるばかりではない。向かい風や横風の場合は、ジグザグに走ることによって風をつかむことになる。また、コースを回るには大胆な方向転換も必要で、いかに無駄なく曲がれるかも腕の見せどころ。こうしたヨットの操作を、クルーは自らの体の位置や向きを変えることで艇全体のバランスをコントロールしながら行う。

全員で一斉にスタートする試合方式のダイナミックさも魅力だ。一斉に海面を滑り出し、最初のマークへの一番乗りをめぐって激しくしのぎを削る最初の山場は見逃せない。最初のマークを越えるとある程度の順位がつき、縦長に伸びた船団がフィニッシュラインに向かって抜きつ抜かれつの戦いを展開する。

環境の変化、他の船との位置関係、自分たちの艇のコンディションなど、刻々と変わるさまざまな条件を計算して臨機応変に戦術を組み立てられる頭脳と、実行に移す技術が必要だ。

セーリングは他の艇との戦いだけでなく、波の高さや潮の流れ、風の強さなどの大自然との戦いでもある。その自然を味方につけるようなセッティングやテクニックで勝利をつかむのである。強靭な肉体と精神力を持った選手のダイナミックな戦いに注目しよう。

OUTLOOK FOR THE TOKYO 2020 GAMES/2020年に向けた競技の展望

古くからの強豪と新興勢力入り乱れるメダル争い

セーリングの選手

東京2020大会で実施されるのは、男女共通の2種目(計4種目)と男子のみの3種目、女子のみの2種目、男女混合1種目。リオデジャネイロ2016大会で初採用された男女混合種目ナクラ17型と女子のみの種目49erFX級が継続実施となった。

これまでの大会で金メダルを最も獲得しているのはイギリス。ヨットレース発祥の国として、その実績は他を圧倒している。第2のメダル獲得国は、世界最高峰のヨットレース「アメリカズカップ」で最多優勝を誇るアメリカ。他のメダル常連国にはノルウェー、スペイン、フランスなどヨーロッパ諸国が名を連ねるが、最近ではオーストラリアとニュージーランドがヨーロッパ勢に割って入る実力をつけてきており、注目されている。

近年の大会における種目別の勢力図を見てみよう。全長4.7メートルの2人乗りヨット、470級男子では、数回にわたってオーストラリア・アメリカ・イギリスの三つ巴での金メダル争いが展開されていたが、リオデジャネイロ2016大会ではクロアチアが一気に金メダルチームに躍り出た。同種目女子は、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、オランダが過去3大会で頂上争いを繰り広げている。全長約4.9メートル、最も大型のヨットで行われる49er級(男子種目)は、オーストラリアとニュージーランドが強さを発揮している。

セーリング最古の種目、1人乗りのフィン級(男子のみ)ではイギリスが5連覇を果たして発祥国の面目を保ち、世界に広く普及している小型1人乗りのレーザー級(男子のみ)では新興勢力のオーストラリアが2連覇中だ。

ウィンドサーフィン種目のRS:X級では2000年代に入って男子のメダル常連国からアメリカが姿を消し、オランダ、イギリス、フランス、イスラエルが目立つ存在となっている。女子でメダルを獲得しているのは中国、スペイン、フランス、フィンランドなど様々だ。

東京2020大会を見据え、2017~2020年のセーリングワールドカップの日本での開催が決定し、すでに実施されている。選手たちはこの機会を通して日本の海面に馴染み、日本の海面を攻略することになる。その意味でも、このワールドカップでの成績がきたる東京2020大会の順位を予想させるものとなるはずだ。

<日本>
日本は、アトランタ1996大会の女子470級で銀メダル、アテネ2004大会の男子470級で銅メダルを獲得している。この種目は乗員2人合わせて約130キログラムが適正体重とされ、小柄な選手が活躍しやすいため日本選手には「ヨンナナマル級」の呼び名で長年親しまれており、2017年男子世界選手権では、11位の土居一斗・木村直矢組を始め日本から5チームが20位以内に入った。今後の成長次第では入賞・メダルに手が届くチームが現れるかもしれない。
東京2020大会に向けては、他の種目でも日本選手にメダルの可能性が見える。リオデジャネイロ2016大会に22歳の若さで出場した土居愛実は2017年、レーザーラジアル級の世界選手権で銅メダルに輝いた。また49er級の女子版49erFX級では、波多江慶・板倉広佳組に期待がかかるほか、ジュニア世代の国際大会で山崎アンナ・高野芹奈組が優勝するなど著しい成長を見せており、楽しみだ。自然環境で行われるこの競技では、「地の利」がより大きく働くことが予想できる。東京2020大会での日本選手の活躍に期待したい。

TRIVIA/知られざる競技のヒミツ

Question

通常、レースは10艇で行うが、最終のメダルレースだけ2艇多い。それはなぜか?

Answer

A:2艇の審判艇が伴走するため。
レース中に進路妨害や接触などの反則行為があった場合、フィニッシュ後に抗議することができ、その結果で順位が変更になることがある。しかし、最終のメダルレースに限ってはその場ですぐに判定を下すために2艇の審判艇が伴走する。

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