水泳

水泳

水泳のピクトグラム

オリンピック競技

水泳

  • 競泳
  • 飛込
  • 水球
  • シンクロナイズド
    スイミング

限界を越え続ける最速スイマー達。
0.01秒の極限の闘い。

競技概要

一定の距離を決められた泳法(自由形、背泳ぎ、バタフライ、平泳ぎ)で泳いでタイムを競う競泳。リオデジャネイロ2016大会では個人種目とリレー種目を合わせ、男女で32種目がプールで行われた。東京2020大会では、800m自由形(男子)、1500m自由形(女子)、4×100mメドレーリレー(混合)の3種目が新たに加わり、種目数は35となる。

それぞれの泳法はもちろん、スタートの飛び込みから水中動作、ターンに至る一連の加速、水の抵抗を極力受けないためのテクニックも重要である。4泳法のうち自由形は、どのような泳法で泳いでもルールとしては問題ないが、現在は最も速いクロールで全員が泳ぐ。

プール以外では、北京2008大会から正式種目に採用された10kmマラソンスイミングだけが、海や川、湖など、プール以外で行われる。オープンウォータースイミングとも呼ばれる。

ESSENCE OF THE SPORT/競技の魅力、見どころを紹介!

水の抵抗を極限まで減らす技術と加速のパワー 泳ぎの美しさと迫力が見もの

競泳の写真1

最も速いクロールで争われる自由形は、世界の男子トップ選手であれば、50メートルを約21秒で泳ぎ切るという、圧倒的なスピードと迫力が魅力。背泳ぎは仰向けの体勢で、しなやかに腕を使い、水面を滑るようにして進んでいく。バタフライは、蝶が飛ぶような美しさとダイナミックなフォームで魅せる。4泳法のうちで唯一、水をかいた腕を水中で前へ戻す平泳ぎは、水の抵抗との戦いをいかに制するかがポイントだ。

タイムが拮抗する世界最高峰の舞台で戦う選手たちは、泳力、体力の向上に加え、キックのタイミング、腕の向きなどを微妙にチェックし、細かい技術を磨き上げる。さらに、どのようにペースを配分するかという戦術も注目のポイントとなる。例えば予選では前半から飛ばして圧倒的なタイムで決勝に進んだ選手が、決勝ではあえて前半はペースを抑えて余力を残しておき、後半にスパートをかけるなどの作戦も、見どころの一つとなる。

1人で4泳法を泳ぐ個人メドレーには、高い総合力が求められる。選手によって得意種目が異なるため、泳法が変わるたびに順位の変動が見られることもある。抜きつ抜かれつのスリリングなレース展開は見応え十分だ。個人メドレーは、バタフライ〜背泳ぎ〜平泳ぎ〜自由形の順番で泳ぐ。

リレー種目では、前の泳者がタッチする瞬間と、次の泳者の足がスタート台から離れるまでの「引き継ぎ」の時間をどう縮めるかが重要になる。メンバーの合計タイムが上位であっても引き継ぎ次第では順位を落とすことがあり、また、引き継ぎ時にフライングをしてチームが失格することもある。メドレーリレーは、個人メドレーとは異なり、背泳ぎ~平泳ぎ〜バタフライ〜自由形の順番で泳ぐ。各泳法のトップ選手らでチームが組まれ、オールスター対抗戦のような華やかな盛り上がりを見せるのもこの種目だ。新種目の4×100mメドレーリレー(混合)は、男女2人ずつの4人でチームを組むが、どの泳法を男女どちらが泳ぐかはチームが自由に決められる。男子と女子が同時に泳ぐこともあり、大きな順位変動や逆転があり得る。

OUTLOOK FOR THE TOKYO 2020 GAMES/2020年に向けた競技の展望

マルチスイマーとスペシャリストの二分化が世界記録更新に拍車をかける

競泳の写真2

競泳の技術革新は今なお進んでおり、オリンピックではロンドン2012大会、リオデジャネイロ2016大会ともに決勝で世界記録が7回更新された。

象徴的なのは100m平泳ぎだ。北京2008大会で北島康介が初めて58秒台に突入。体を伸ばし水の抵抗を極限まで減らす美しいストリームラインや、息継ぎの後の頭の位置を低くする動作などで効率を追い求めるとともに、ストローク(水をかく動作)数の少ない北島の泳ぎが世界の主流となりつつあった。
それをアダム・ピーティー(イギリス)が大きく変える。テンポが速くパワフルな泳ぎ、言い換えればストローク数が多くキックが力強い泳ぎで驚異的なスピードを実現させ、リオデジャネイロ2016大会で57秒13の世界新記録を樹立して優勝した。
自由形や背泳ぎ、バタフライにおいても、大会ごとに新しいテクニックが生み出されており、技術力の進化が競泳の記録の進歩を促しているのである。

近年ではスペシャリストよりも多種目で活躍する選手が増えた。マイケル・フェルプス(アメリカ)やライアン・ロクテ(アメリカ)、カティンカ・ホッスー(ハンガリー)らが知られている。彼らが得意とするのは個人メドレーだ。一方、先に挙げたピーティーのようなスペシャリストも活躍している。マルチに活躍する選手、そしてスペシャリストとの二分化は、これから先の水泳界に大きな変革を起こしていくことになるだろう。

<日本>
リオデジャネイロ2016大会では、萩野公介が400m個人メドレー(男子)で日本選手団第1号となる金メダルに輝き、さらに52年ぶりとなる4×200mリレー(男子)での銅メダル獲得にも貢献した。かつて日本にはスペシャリストが多かったが、近年では萩野や瀬戸大也のような多種目で活躍する選手が登場。小学生の頃から4つの泳法を指導されることが背景にある。また1964年東京大会以降あまり日本が得意としてこなかった自由形にも、強い選手が育ってきた。選手層の厚みも増しつつあり、競泳での日本のメダルはますます増えることだろう。

TRIVIA/知られざる競技のヒミツ

Question

バタフライの起源となった泳法は?

Answer

A:平泳ぎ
20世紀初頭の平泳ぎは「両手を同時にかき、腕、肩、足は左右対称」というルールだった。そこで、水をかいた手を水中でもどすのは水の抵抗が大きいとして、水の上に出して戻す泳ぎが登場。それがバタフライになったのだ。のちに、その泳法は平泳ぎから独立し、バタフライになった。

ダイナミックな回転から、一点の乱れもない入水。
2秒の演技が起こす大逆転劇は、まばたきすら許されない。

競技概要

3メートルのジュラルミン製でできた飛板を使い、反発力を利用して演技を行う「飛板飛込」と、10メートル高さの台から飛び込む「高飛込」の2種類が行われる。演技は、踏切の方向と宙返りの方向、演技に捻りを加えたもの、逆立ちからスタートするものがある。採点は、回転の型(伸型、蝦型(えびがた)、抱型)の3種類を組み合わせた演技の美しさや入水時の水しぶきの少なさなどを見る。これに加え、シンクロナイズドダイビングは、2人でどれだけ演技が同調(シンクロ)しているかも採点される。

ESSENCE OF THE SPORT/競技の魅力、見どころを紹介!

一瞬に凝縮された美 逆転劇も起こりやすい

飛込の写真1

飛込の魅力は、演技がスタートして2秒弱で勝負が決まる「一瞬の美」にある。5種類の踏切の方法と、前後の回転の方向に加えた捻りに、回転時の身体の形を組み合わせて演技を行い、その美しさとダイナミックさが採点される。入水時の水しぶきをどれだけ抑えられるかも採点基準のひとつだ。採点は10点満点からの減点法で行われる。

入水は見た目にも分かりやすい。オリンピックの決勝で戦う世界のトップ選手たちは、ほとんど水しぶきを上げない。特に、入水したかと思えば、全くしぶきが上がらず、ぼこぼこと泡が水面に見えるだけの「リップ・クリーン・エントリー」とよばれる入水は美しく、最も得点が高い。

以前は、3m飛板飛込では踏切から入水までの回転が、1回転半から2回転半が基本だった。近年では、飛板をしならせてその反発力を使って高く飛び上がることにより、3回転半から4回転半も回転するダイナミックな演技がメインになってきた。

近年の世界トップクラスの選手をみると、力を発揮し始めているのは、背が高く手足の長い選手である。特に男子は手足が長いと空中での回転が大きくなり、演技がダイナミックかつ美しくみえるのだ。

高飛込では台の反発力を得られないため、飛び上がることよりも、いかに入水までに素早く小さく回転することができるかがポイントになる。そのため、高飛込の上位には、背が小さく瞬発力の高い選手が多い。

飛板飛込、高飛込ともに男子は6回、女子は5回演技を行い、その合計点数を競う。最後の演技の直前までリードを許していたとしても、最後の演技で逆転することもできる、1試合の順位変動が激しい種目だ。事実、北京2008大会の高飛込では、5本目まで地元中国の選手がリードしていたが、最後の6本目でオーストラリアの選手が逆転してオリンピック史にのこる劇的な優勝を飾った。演技は一瞬で決まるのに対し、勝負は最後の最後まで分からない。そうしたスリリングな魅力が、飛込には詰まっているのである。

OUTLOOK FOR THE TOKYO 2020 GAMES/2020年に向けた競技の展望

男女ともに中国優位。牙城を崩すのはどの国・地域か。

飛込の写真2

セントルイス1904大会以降、アメリカが圧倒的な強さを誇っていたが、女子はロサンゼルス1984大会から、男子はバルセロナ1992大会から中国選手が台頭しはじめ、北京2008大会においては全8種目中7種目を中国が制するなど、強さを見せつけた。中国は2回転半~3回転半が主流だった時代に、4回転半という難しい飛込を行い、さらに入水もリップ・クリーン・エントリーまではいかないまでも、ほとんどしぶきがあがらない「ノースプラッシュ」の演技をしたのだ。

しかし、近年ではイタリア、イギリス、オーストラリアに加え、アメリカも力を取り戻しているため、東京2020大会では混戦が予想される。

欧米勢が復活しつつある大きな理由は、長身の選手が難度の高い4回転半を飛べるようになったことだ。捻りの数も、1回が2回になり、そして3回行う選手も出てきた。やはり手足の長い選手が大きな身体を素早く回転させ、そしてノースプラッシュの入水をする様は美しい。事実、リオデジャネイロ2016大会では、男子3mシンクロナイズドダイビングの優勝チームはイギリスで、2位にはアメリカが入り、中国は3位、と勢力図に変化が訪れ始めている。

また、演技の難易率が高くなればなるほど入水が難しくなっていくため、今まで以上に入水が勝敗を分ける重要なポイントになっていくことだろう。

より高く、より速く、より多く回転し、より美しく入水することが求められていく飛込。東京2020大会に向けて、演技が大きく変わっていくに違いない。それに伴い、勢力図が大きく変動する可能性もある。

<日本>
ベルリン1936大会の4位入賞が、オリンピックにおける日本の飛込の最高順位だ。リオデジャネイロ2016大会では、板橋美波が女子高飛込で8位入賞を果たした。男子の坂井丞も力をつけてきており、難易度の高い種目でいかに美しい入水を決められるかが日本の課題となっている。またシンクロナイズドダイビングは、1つの国・地域から複数の選手が出場できる他の飛込種目とは異なり、出場は各国・地域で1組だけ。日本が出場権を得ることができれば、メダル獲得の可能性が出てくる。

TRIVIA/知られざる競技のヒミツ

Question

飛込競技がオリンピックで行われ始めたとき、飛板飛込種目で使われていた板の素材は?

Answer

A:飛板飛込が始まった当初は、反発性の少ない杉の板が使われていた。
現在は、反発性の高いジュラルミンが使われている。

鋼の肉体がぶつかり合う水中の格闘技。
激しいゲームの中で、各国の緻密な戦略が光る。

競技概要

水深2メートル以上のプール内につくられた縦30メートル横20メートルのコートで、2チームがボールをゴールに投げ入れ合って得点を競う水中の球技。ゴールキーパーを含めた1チーム7人の選手たちは、試合中一度も底に脚をつけずにプレーする。攻撃開始から30秒以内にシュートまで持ち込まなければならないというルールがあり、それを過ぎると攻撃権は相手に移る。試合時間は4ピリオド制(1ピリオドは8分間)。プールで行われる唯一の球技種目だ。

1860年代のイギリスで「ボールを決められた水上のポイントまで運び合うゲーム」として始まり、そのあまりの荒々しさから危険を防ぐためにルールが制定され、スポーツとしての水球が確立したとされている。オリンピックでは、男子はパリ1900大会から、女子はシドニー2000大会から行われている。

ESSENCE OF THE SPORT/競技の魅力、見どころを紹介!

水中でありながらスピード感あふれる展開 激しい肉体のぶつかりあいは迫力満点

水球の写真1

鍛え上げられた大きな体がプール内を縦横無尽に行き交い、激しくぶつかり合う。審判から見えにくい水中では、相手をつかみ、蹴り上げるといったプレーが少なくない。ボールを持っていない選手に対してこれを行うとファウルになるが、ボールを持っている選手に対しては、荒々しいコンタクトが許されている。この激しさから「水中の格闘技」と称され、さらにスピーディーなゲーム性を兼ね備えたスポーツでもあり、ゴール前を固めるゾーンディフェンスや、素早いカウンターアタックなど多彩な戦術も魅力の一つだ。

ゴールキーパー以外の選手は、ボールを片手で扱うことが定められている。1チーム7人であることや手を使ってボールをゴールに投げ入れること、選手交代の回数が自由であることから、ルールはハンドボールに似ているともいわれる。ゴール前、選手たちが軽々とボールを扱い、華麗なパスワークでディフェンスのフォーメーションを崩す場面などは、目を見張るものがある。

水球はファウルが多いことも特徴の一つで、それが得点を左右する重要なポイントにもなる。ファウルは、オーディナリーファウルとパーソナルファウルの2種類があり、前者は軽微な反則と見なされ攻撃権は移らない。一方、パーソナルファウルをした選手は自軍ゴール横にある「退水ゾーン」で20秒間の待機が命じられる。その場合は相手チームよりも1人少ない状態でのディフェンスを強いられるため、失点につながりやすい。

選手はプールの底に足をつけず、身体を水中で垂直に維持しながらプレーする。それを可能にするのが、巻き足と手の平の動作で生まれる「揚力」だ。相手のディフェンスを超えてシュートを打つときは、体をコントロールし、浮力をつくる「スカーリング技術」を合わせることで、瞬間的に上半身を思い切り高く水上に持ち上げる。片手でボールをつかんだ状態でジャンプし、全身の力を利用して打つシュートは、男子では時速70キロメートル程度、女子は時速50キロメートルを超える。この豪快なシーンも、水球の大きな見どころのひとつだ。

OUTLOOK FOR THE TOKYO 2020 GAMES/2020年に向けた競技の展望

パワープレーからスピードプレーへとルール変更が勢力図の変化をもたらすか

水球の写真2

イギリスを発祥の地とし、ヨーロッパを中心に普及が進んだこともあり、男子はヨーロッパの各国・地域がオリンピックのメダルの多くを獲得している。なかでも国内にプロリーグを有するハンガリーは、シドニー2000大会から北京2008大会までの3連覇を含め、金メダル数は合計9個を数える。ロンドン2012大会ではクロアチアが、リオデジャネイロ2016大会ではセルビアが金メダルを獲得するなど、国内で絶大な人気を集める旧ユーゴスラビア圏の国々の実力が拮抗している。金3個、銀2個、銅3個の実績を持つイタリアもメダル常連国だ。

一方女子は、シドニー2000大会から正式種目となったこともあり、自国開催で強化に力を入れたオーストラリアがその大会で優勝。オリンピックデベロップメントプログラムを導入し、選手発掘と強化を継続的に進めているアメリカが、ロンドン2012大会、リオデジャネイロ2016大会で連覇を達成している。この2か国以外では、北京2008大会でオランダが、アテネ2004大会でイタリアが、金メダルを獲得している。

男女とも強豪国に共通しているのは、大きな体格、長い手足を利用した戦術、戦略である。攻撃時間の30秒をじっくり有効に使い、センターポジションの選手にボールを集めてゴールを奪う攻撃パターンが王道だ。素早いパス回しからディフェンスの隙を突いて、ロングシュートを豪快に打ち込むこともある。

水球をさらに世界的に発展させていくためには、泳力を生かしたスピーディーな攻撃が得意な国や「パスラインディフェンス」というカウンターアタックのような戦術を実践する日本など、新たな勢力の台頭が待たれている。国際水泳連盟ではワールドリーグを開催して、さまざまなレベルの国が戦える機会を増やし、コーチやレフェリーの強化を国際的に図っていくなど、新たな動きを開始。従来の激しい格闘技的な要素を残しつつも、競技としての新たな魅力の可能性も押し広げていくために、より展開が早くなることを狙い、コートの長さや攻撃の時間を短縮するルール変更も予定されている。水球の戦術、戦略が今後どのように変わっていくかに注目したい。

<日本>
リオデジャネイロ2016大会で、32年ぶりのオリンピック出場を果たした男子の日本代表。その原動力となったのは、相手にパスをさせない守備で、ボールを奪ってカウンター攻撃をしかける 「パスラインディフェンス」という作戦だった。リオデジャネイロ2016大会では未勝利に終わったが、強豪国の高さとパワーに対抗して、スピードと持久力で勝負する日本独自の戦い方を強化し、自国開催のオリンピックで強豪相手に勝利するべく準備を進めている。東京2020大会で初出場初勝利を目指す女子は、24時間使用可能の練習プールを拠点とし、強化合宿を増やすことで底上げを図る。男女ともに海外でプレーする選手も増え、新たな日本の水球の歴史をつくることに意欲を燃やしている。

TRIVIA/知られざる競技のヒミツ

Question

水球で使われるボールには、滑りにくくするためにある工夫がされている。その工夫とは?

Answer

A:スクラッチ(小さな傷)が入っている。
さらに、グリップ力の高い特殊配合ゴムを使っている。これは、水中でも片手で滑らずにボールを扱うことができるようにするためである。

ダイナミックかつ繊細な舞。
一糸乱れぬマーメイド達の競演が、観客を虜にする。

競技概要

音楽に合わせてプールの中でさまざまな動き・演技を行い、技の完成度や同調性、演技構成、さらには芸術性や表現力を競う。オリンピックでは女子のみで実施されるシンクロナイズドスイミング。2分20~50秒の曲に、決まった8つの動きを入れるテクニカルルーティンと、3〜4分の曲の中で自由に演技するフリールーティンが行われる。

美しい装飾を施した特殊な水着を着け、水にぬれても落ちないメイクを施し、水が鼻に入らないようにノーズクリップを着用(しなくてもよい)し、水の中で舞う選手たち。同調性、難易度、技術、そして演技構成などが採点され、順位が決まる。

ESSENCE OF THE SPORT/競技の魅力、見どころを紹介!

チームによって異なる美しい個性と次々に繰り出される新しい技に注目

シンクロナイズドスイミングの写真1

シンクロナイズドスイミングがオリンピックで正式種目として採用されたのは、ロサンゼルス1984大会から。その30年あまりの歴史のなかで、幾度となく競技規則やルールの変更が行われてきた。当初はソロ(1人)とデュエット(2人)の2種目が行われていたが、アトランタ1996大会では、チーム(8人)のみが行われた。その後、シドニー2000大会でデュエットが復活。それ以降はデュエットとチームの2種目が行われている。プールは水深3メートル、20メートル×25メートル以上という決まりがある。

採点は1組5~7人の審判員が2組で行う。

テクニカルルーティンでは、1組が完遂度を採点し、もう1組は構成、音楽の使い方、同調性、難易度、プレゼンテーションを採点する。主に規定の技の完遂度が高く、うまく同調しているかどうかが採点基準となる。

フリールーティンでは、1組が完遂度、同調性、難易度を採点し、もう1組は構成、音楽の解釈、同調性、プレゼンテーションを採点する。演技時間は長く構成は自由だが、そこには高い表現力と芸術性が必要となり、ある意味テクニカルルーティンよりも難しい。

テクニカルルーティンもフリールーティンも、それぞれの国・地域が思い思いのデザインの水着を身につけ、民族性に富んだ構成・音楽で演技をするため、チームごとに個性的な美しさがある。

選手たちは手で水をかき体の位置を保ったり推進力を得たりするスカーリングという技術と、それを脚で行うエッグビーターキック(巻き足)などの技術を駆使することによって、身体を水面から大きく出す演技を行う。その瞬間の力はかなり強く、腰まで水面に出すこともできる。また、水中で逆さまになって下半身だけを水面から出す演技も行う。脚技もシンクロナイズドスイミングでは非常に重要な技術だ。

顔が水中に沈んでいる時間が長く、もちろんその間は呼吸を行うことはできない。息を止めた状態で、ときには30秒以上の脚技を繰り出す選手もいる。

だが、技が激しいだけでは演技が雑に見えてしまい、減点対象になることもある。激しさのなかに、丁寧さや細やかな同調性が伴っていないと高得点を得ることが難しくなった。リフトのダイナミックさのみならず、指先、つま先まで意識を行き渡らせた繊細な演技と同調性こそが、今後のシンクロナイズドスイミングにおける重要な要素になっていくことだろう。

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リフトのダイナミックさに加え緻密な演技と同調性を兼ね備えた繊細さが勝負の決め手

シンクロナイズドスイミングの写真2

シンクロナイズドスイミングの起源は、1800年代後半にイギリスで行われていたスタントスイミングと呼ばれるもので、主に男性が中心の競技だった。その後、ドイツのアーティスティックスイミングと組み合わせた競技が1900年初頭から行われ、これがシンクロナイズドスイミングの基礎になったといわれている。

オリンピック競技として最初に行われたのはロサンゼルス1984大会。その頃はまだそれほど激しい演技は少なく、しなやかさとあでやかさを前面に押し出した演技構成が多かった。ところが、シドニー2000大会あたりから多種多様なリフトが行われるようになる。さらに1、2人の選手を持ち上げて高さをアピールするリフトに、ジャンプが加わるようになった。そこから捻りを加えたり、空中でさまざまな演技を行ったりするようになり、現在ではジャンパーというポジションが確立されるほどになった。リフトはデュエットでも行われるようになり、こちらもダイナミックなジャンプが多く取り入れられるようになっている。これらの技はシンクロナイズドスイミングの大きな見どころといえよう。

演技の細かい部分にも、少しずつ変化が起こっている。指先、つま先はピンと伸ばした美しさが重視されていたが、近年ではわざと足首を背屈させ、回転する際に少し変化をもたらすことも多い。手で水面を叩いたり、円を描くようにしてなぞったりするときに生じる水しぶきすらもコントロールすることで、演技の幅を大きく広げた。

演技構成の変化は、シンクロナイズドスイミングにおける勢力図も変化させた。オリンピックに正式採用された当時は、アメリカやカナダが強かったが、長身で手足の長い選手をそろえるロシアやスペイン、フランス、さらにはウクライナといったヨーロッパ諸国が力をつけ始める。さらにアジアの活躍もめざましく、最近では日本に加えて中国も強豪国の仲間入りを果たした。

<日本>
シンクロナイズドスイミングが初めて行われたロサンゼルス1984大会以来メダルをとり続けてきた日本は、北京2008大会のチームでメダルを逃し、ロンドン2012大会ではデュエット、チームともメダルなしに終わる。だが、元来得意としていた同調性を追求し、日本の伝統文化を表現した曲や演技構成で、リオデジャネイロ2016大会ではデュエットもチームも銅メダルを奪還。今後はさらに上のメダル獲得に挑む。

TRIVIA/知られざる競技のヒミツ

Question

シンクロでは、選手が演技で激しく水中を動いても、髪の毛が乱れないように工夫している。その工夫とは?

Answer

A:ゼラチンで固める。
ゼリーなどの食品に使用されているゼラチンは40度以上で溶ける。ぬるま湯に溶かして髪をスタイリングするときに塗り、固まるまで5~10分待つ。固まれば激しい動きでも髪がほどけることはない。

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