学生のための「Rio to Tokyo」開催レポート(第二部)東京2020大会に向けてGo Tokyo!

第二部では、東京2020大会に向けて「Go Tokyo!」をテーマに、シンポジウムを実施し、東京2020大会に向けて今からできること、これからできること、学生ならではの大会までの楽しみ方を、会場と一体となって議論を交わしました。

リオ2016大会には、現役の学生であるオリンピアンが約50名、パラリンピアンが約10名参加しました。今回は、オリンピアン、パラリンピアンが在学する東京都内および近郊の連携大学から3名のオリンピアンの皆さんにパネリストとして参加いただきました。

会場全体の様子

シンポジウム

和田 浩一(フェリス女学院大学 教授)
立正大学 大黒田 裕芽さん(7人制ラグビー)
東京学芸大学 小出 深冬さん(7人制ラグビー)
日本大学 三井 梨紗子さん(水泳/シンクロナイズドスイミング)
來田 享子(中京大学 教授)
井上 利彦(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 エンゲージメント担当)
笠松 亜希(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 アクション&レガシー教育担当)

(和田教授)
第一部の感想はいかがでしたか。

(小出さん)
私たち選手はリオ2016大会に一生懸命だったので、4年後の東京のことはあまり考えていませんでした。しかし、今日のお話を聞いて、選手以外の方々も4年後に向けてスタートしていることなど、初めて知ったことが多く、今後、私たち選手もそういった活動に協力していきたいと思いました。

(三井さん)
夢の舞台であったオリンピックに出ることに精一杯で、こんなにもたくさんの方がブラジルへ行って閉会式や開会式で演技をしていただいたり、応援していただいたりと、力になってくださっていることを初めて知りました。パネリストとして、参加させていただいて、有難く思います。

(和田教授)
そもそもオリンピック・パラリンピックは何のためにやるのか、会場の皆さんはご存知でしょうか。

東京学芸大学 小出美冬さん マイクで話す日本大学 三井梨沙子さん

(千葉大学 会場の学生)
オリンピック・パラリンピックに向けて、学生の立場からどんなことができるのかと考え、学生団体を立ち上げて3年間活動してまいりました。
オリンピズムという理念のもと、スポーツ、文化、芸術を通して、世界の人々と相互理解を深め、平和な社会を築いていくことが、オリンピック・パラリンピックの目的なのかなと思っています。

(国士舘大学 会場の学生)
オリンピックは、メダルや記録が目立つと思いますが、結果ばかりにこだわるのではなく、スポーツを通じて、色々な文化や国を超えて、人が繋がっていき、平和や子供たちの成長に寄与したい、そういった思いが込められているのではないかと思います。

(和田教授)
オリンピックを作ったクーベルタンが聞いたら、涙を流して喜ぶような回答でした。
ここで、中京大学の來田先生に「オリンピック・パラリンピックとは何なのか」を簡単にまとめていただきましょう。

フェリス女学院大学 和田浩一教授

(來田教授)
今、お二人にお話しいただいたことは、クーベルタンの想いを分かりやすい言葉で説明してくださっていたと思います。ところで、皆さん「アジェンダ2020」はご存知ですか。2015年にIOCが出した新しい方針です。この中で、スポーツとスポーツを取り巻く人々、今まではひょっとしたら関係ないかもとお互いに思っていたような人たちも手を結ぶことで、お互いが持っていなかったアイディア、あるいは違う意見がぶつかることで、新しい世界、新しい形、新しいアイディアを生み出すのではないか、もっと世界をそのような方向に広げていこうといっています。スポーツを通じて、より広い範囲で、多くの人を巻き込みながら、世界の平和に向かって走ることができる、時代的にはそのような段階に入ってきているのではと思います。これが東京2020大会の目指していく形だと思います。

(和田教授)
オリンピックは、決してアスリートだけのものでは無いんだということが、今、私たちの共通認識になったかと思います。そのヒントとして「エンゲージメント」という言葉があります。

(東京2020組織委員会 井上)
初めて聞く方もいらっしゃる言葉だと思います。ポイントを3つ説明します。まず、言葉の意味ですが、大会本番が盛り上がり、安全安心に終了して良かったということだけではなく、今まさしくこのシンポジウムなど、準備段階からいかに多くの方々と一緒になってオリンピック・パラリンピック関連のイベントを作り上げていくかという活動になっております。また、もちろんアスリートが大会の主役ですが、それ以外にも、周辺の様々な活動をこの後紹介しますので、オリンピック・パラリンピックは、こんなにも広がりがあるんだということをイメージしてほしいのが2つ目です。最後に、皆さんと同じ女子学生が映像の最後に出てきて一言コメントを言いますので、そこを注目していただいて是非、映像を観ていただければと思います。

(ここで、エンゲージメントに関する映像を視聴しました。)

パネリストの皆さん

(東京2020組織委員会 井上)
映像の最後に出てきた女子学生の一言ですが、「大会に関わることによって、自分が大会前と後で非常に変化した」と言っていました。今日、お集まりの皆さんの「大学生」という視点で、例えば、学園祭や文化祭をイメージしていただくとわかりやすいと思います。学園祭、文化祭は、参加した人以上に、実は準備して運営している人たちも、すごく楽しいと思います。それが自分の人生の中の1ページとしてすごく思い出に残ると思うんですね。エンゲージメントというキーワードをもとに、大会本番中に楽しむことも大事ですが、その前に私たちはオリンピック・パラリンピックという学園祭の実行委員会を募集しに来たイメージです。是非一員となってくれたら嬉しいなと思っております。

(和田教授)
理解が非常に深まったかと思います。決して、オリンピックは大会の2週間、パラリンピックの2週間の1ヵ月間だけの事ではなく、大会へ向けて色々な人々が色々な立場から準備をしていく、これがエンゲージメントに繋がっていく、ということだと思います。
オリンピアンの三井さん、どのような感想をお持ちになりましたか。

(三井さん)
私自身は、2度オリンピックに行きました。ロンドン2012大会の時は5位という結果でメダルに届かず、今回リオのオリンピックでは絶対メダルを取るぞという思いで迎え、銅メダルを2つ獲得できました。その時思ったことは、自分1人ではこんな場所には立てませんし、自分1人の力ではメダルを取れない、ということです。本当にたくさんの方々に支えられて今の自分がいます。オリンピックというものは、色々な人が色々な力を与えてくれないと出来ないものです。みなさんに身近に思っていただきたいです。

日本大学 三井梨沙子さん

(和田教授)
さて、実は「大学連携」という事業は、オリンピック・ムーブメント、パラリンピック・ムーブメントの中で初めてだということですが、今年、大学連携はどのような活動をしてきたのでしょうか。

(東京2020組織委員会 井上)
日本全国で、大学や学生の皆さんと一緒に活動を広げております。大会エンブレムが出来上がった時に大会エンブレムと一緒に写真をとって投稿するというSNSキャンペーンや、リオ2016大会期間中に東北3県でライブサイトを行った際に、ステージイベントで、地元連携大学の学生の皆さんにパフォーマンスをしていただきました。また、講師という形で職員を派遣し、例えば栄養学部に選手村の飲食担当の職員が行き、そこでどんな栄養が必要なのか講演をさせていただいております。

(和田教授)
今日このイベントに参加しているということも、1つの活動と言ってもよろしいでしょうか。

(東京2020組織委員会 井上)
まさしくそうだと思います。

(和田教授)
今日、私たちは、実際に活動をしているというわけですが、これが終わって、すぐに何かやりたいという人にとっての活動はありますか。

東京2020組織委員会 井上

(東京2020組織委員会 井上)
東京2020大会に関する情報発信ということで、SNSやメールマガジンも立ち上げています。また、今日も入口で見た方もいらっしゃるかもしれませんが、大会オフィシャルグッズを買っていただくこと、観戦チケットを買っていただくことも、大会の運営や世界中のスポーツ振興につながるエンゲージメント活動です。

(和田教授)
私の想像を超えるような、エンゲージメント活動がまだまだあると、今感じました。今日のこのイベントは「参画プログラム」の1つであるという説明がありました。この参画プログラムという言葉を初めて聞いた方も多いと思いますが、学生、教職員として、どのように参加できるのか、お話しいただけますか。

(東京2020組織委員会 笠松)
「東京2020参画プログラム」とは、様々な団体が、大会に向けた活動を実施できるプログラムです。オリンピック・パラリンピックをテーマとして、8つの分野に関連するイベントを企画いただき、携わってほしいと考えております。大学・短期大学は、「応援プログラム」が対象となっており、来年の4月以降を開始予定時期として準備を進めております。大学・短期大学の事務局を通し、大学・短期大学の活動として申請していただきたいと考えております。

東京2020組織委員会 笠松

講義、研究、スポーツイベント、競技の体験会、展示や学園祭など、本当に身近なものをオリンピック・パラリンピックにつなげて申請いただくことで、この応援プログラムに参加いただき、応援プログラムのマークも、どんどん広めていっていただきたいと思っております。もちろん、このマークがついているイベントにも参加いただきたいです。2020年に向けて、積極的に関わっていただきたいというのが私たちの思いです。

(東京2020組織委員会 井上)
例えば、運動の部活・サークルをやっている大学生の方が、自分たちの練習時間の中の2時間を空けて、地域の小中学校の子どもたちを招き、スポーツ教室をやったとします。まさしくこれが応援プログラムのひとつになると思います。そこに参加した子供たちは、4年後に大会を見ながら、そういえば自分が子供の時に、大学生のお兄さん、お姉さんが自分にスポーツを教えてくれたなとか、そこでスポーツを教えた学生さんが教員の世界に進みたくなった、とか、あとは大学にとっても、そこで地域住民の方々と繋がりをもてた、とか、高校生が優しいお兄さん、お姉さんがいたからあの時の大学に入学してみたい、とか、そんなプログラムをぜひ、拡大していただきたいと思っています。

(和田教授)
ここで教員の立場として、來田先生から一言お願いできますでしょうか。

(來田教授)
大学は、おそらく日常の業務に追われているのではないかと思います。そこに新しいものを始めるのは、とてもエネルギーや勇気がいることかもしれません。でも、それを超えていかないと全く新しいものが生まれないわけです。「〇〇と〇〇」を考えたときに、日本では“and”並列に何かと何かを置くという使い方で、“と”を使います。実はそれ以外にも日本語の“と”は広い意味を持っています。例えばオリンピックはスポーツと文化の祭典、これは“and”です。誰かと一緒に、誰と誰と、というと、これは“with”になります。それから、今と未来、というと時間軸になるように、“と”は、すごく幅の広い概念を持っています。

中京大学 來田享子教授

この“と”を生かし、人の繋がり、場所の繋がり、あるいは今まである既存のイベントを融合させていくこと、今は少ししかできなくても、長い時間が経ったときには、たくさんのことができていた、というように、敢えて自分たちで完結させないことも1つの在り方だと思います。ムーブメントは止めてしまったら終わりなので、“と”をキーワードに、毎日少しずつできればいいのではないかと思います。登壇しているこのメンバーも、今日初めてここで会った人たちです。アスリートの皆さんは、「こんなにいろいろな人たちが大会に関わってくれていたとは知りませんでした」と言っていました。ボランティアの人たちは「もっと自分たちが動いていたことを知ってもらって、アスリートの人たちと交流したかった」と言っていました。地道に研究して、街の中を回っていた人たちもいました。こんな話から、例えば、このメンバーで、愛知県にプチリオ代表団として行ってみる。同じ世代の人たちがこんなにいっぱい関わっていました、と話をするところに一緒に加わってもらうだけで、すごく楽しいものになるのではと思います。

(和田教授)
多様な広がりがあることがわかりました。今日ここにいる皆さんにもアイディアが浮かんできているのではないでしょうか。大黒田さんいかがでしょうか。

(大黒田さん)
私はラグビーという、マイナーなスポーツをやっていますが、あまり知られていないスポーツを知っていただいたり、観ていただいたり、体験していただいたりすることで、もっと大会を楽しんでいただけると思います。

立正大学 大黒田裕芽さん

(和田教授)
すべてのスポーツがオリンピックにあるわけでは無く、例えば私が関わってきたスポーツでもソフトテニスや剣道、なぎなたも、オリンピックにはありません。しかし、この3つがオリンピック・ムーブメント、パラリンピック・ムーブメントと関係ないかというとそうではありません。先ほどの発言から繋がっていきそうな気がしますが、三井さん、いかがでしょうか。

(三井さん)
今回、いろいろな知識を得ることができました。例えば、選手村には日本棟というものがあり、その棟で全競技の人たちが生活をします。その時、全く知らない日本代表の方でも、やはり日本というものが見えるたびに、「こんにちは」と笑顔で挨拶したくなります。それこそボランティアの方々の中に日本の方がいると私たちはすごく嬉しくて、本当に私達だけではなくて、色々な人たちが一緒にいて日本チームなんだなということを感じられます。本当に人と人とのつながりは素晴らしいものだと感じました。

(和田教授)
今、三井さんが他の競技の方と選手村で会うとおっしゃっていましたが、オリンピックの選手団って、オリンピックだけでも500名を越えます。これにパラリンピックも含めると大きな規模になってくるのが分かります。その多様性を活かして、人と人とのつながりがまた新しい時代を作っていく、このような可能性も秘められているのかなと思います。そこには他競技という視点もありますし、他の国・地域という視点もあると思います。
オリンピック・パラリンピックとしてのいろいろな財産が見えてきたと思うのですが、これを大学の財産と重ね合わせたときにどのような方向性が見えてくるのか、來田先生コメントをいただけますでしょうか。

(來田教授)
大学では、オリンピック・パラリンピックをテーマとした公開講座や専門の授業が増えていると思います。実は東京2020組織委員会のウェブサイトにもたくさんの報告があり、そこから学ぶことができますが、今、私自身が取り組んでいて一番面白いと思うは、今まで全然一緒に仕事をしなかった他の分野の人とのコラボレーションです。スポーツ科学以外の人たち、例えば工学、国際交流、物理学や化学。普通だったら、絶対考えないだろうなというような、そういう分野の人たちと一緒にオリピックをテーマにし集まる。スパイクシューズの材質を他の分野の人たちと考えれば、それだけでコラボレーションです。これは、大学の強みの1つなのではないかと思います。4年間で大学生活は終わってしまいますので、持続性がありません。持続性を持たせるための機能・ハブを大学が果たしていくことも可能なのではないかと思います。

(和田教授)
異分野の方々の交流というのは、新しい世界が開け、大変興味、関心が高まります。

スポーツには、する、みる、支えるといった様々な立場があると思います。会場にいらっしゃる皆さんの中で、アイディアや夢がある方いらっしゃいますか。

スクリーンの横で解説する和田浩一教授

(千葉大学 会場の学生)
2020年が終わった後に、1人でも多くの日本人が東京オリンピック・パラリンピックをやって良かったと、心から誇らしげに言えることができるような大会にしたいという夢があります。そのためには、1人でも多くの人に還元される必要があり、学生が立ち上がって、アプローチをしていく必要があると思います。現在、活動の1つに車いすアートプロジェクトというものを考えています。文化・芸術と車いすを絡め、障がい者スポーツや障がい者の生活に更なる可能性や魅力を生み出していけるようなアイディアを千葉市と協力して実現中です。

(日本体育大学 会場の学生)
私は将来的には子どもたちにスポーツを広めたり、楽しさを教えたりすることを目標に勉強中なのですが、4年後のオリンピックでは自分も何か関わりたいと思っています。まだ具体的に思い描いていないのですが、このようなシンポジウムやイベントに積極的に参加して、オリンピックに関わるという夢を実現するために努力していきたいと思います。

(和田教授)
是非、このような機会を利用して、イベントが終わった後にでも、学生の間でネットワークを作るとまた学びのシェアが広がっていいのではないかと思います。

(日本体育大学 会場の学生)
先週、スウェーデンのチームに帯同する機会があり、国立施設に泊まりました。その時の施設がWi-Fiもなく壁も剥げていた施設で、選手からは「私達はこんな施設で泊まるのか」と言われました。その時に思ったのは、関わっている人達はやりたいことがあるのかもしれないけれど、このような意見が伝わっているのか、連携を取れているのか、と感じました。自分もまだ将来を良く考えていないのですが、なにかしら関わる仕事につきたいなと思っています。

(和田教授)
最後にコメントさせてください。ぜひ、自分たちの学部、学科、コースの専門性を生かして何かオリンピック・パラリンピックに関われないかということを考えて欲しいと思います。
一見、オリンピック・パラリンピックと関係のない分野の方から今までにない、アイディアが出てきそうで、僕自身は非常に楽しみにしていますし、今後のオリンピック・ムーブメントの1つのモデルとなる可能性を秘めているのではないかと感じています。

講演する和田浩一教授

その際にお願いしたいのは簡単に限界を作らないでほしいということです。今の技術、今の理論を基にするのではなく、最初はそういうものは取っ払い、今はない考え、理論、技術でこんなことができないかなということも大いに考えて欲しいと思います。
パラリンピックにも目を向けて、この大学連携の活動の中で、何か自由に活動できるのではないかと思います。最後になりますが、私は国際交流学部に勤めております。オリンピックですけれども、205の国と地域と選手団という参加があると聞いてます。国連加盟国数というのは193なので数の上では国連よりも影響力を持った大きなムーブメントを大学生、大学連携が中心となって、色んなアイディアを出していくというのは学園祭を準備する、私たち自身が一番楽しめるタイミングではないかと感じています。

(三井さん)
私自身は小さいころからシンクロをやっていて、シンクロしかしてきていません。アスリートは種目1つに焦点を合わせてやってきているので、足りないことだらけです。アスリートだけではなく、他の専門の方々に関わっていただけることは本当にオリンピックを大きなものにするのに必要なことです。是非いろいろな形でオリンピックに参加していただければと思います。

(和田教授)
ありがとうございます。これでシンポジウムを終わりたいと思います。

全員集合写真

クロージング

真田 久(筑波大学 教授/東京2020組織委員会 参与)

第一部では、竹見さんのリオでのオリンピック・パラリンピックの素晴らしい写真を報告いただき本当にありがとうございました。アスリートの様々な思いのこもった姿が、ファインダーを通して見事に表現されておりました。これも、オリンピック・パラリンピックを介した芸術と感じさせていただきました。
4大学の学生の視点からの発表は、それぞれに鋭く見られていたなと感じました。共通して言えるのは、ダイバーシティということで、これがこれから重要なんだということを実感いたしました。

筑波大学 真田久教授

包摂への意識改革が大事だということや、ボランティアをして、実際に現場の感覚を通して、自らがダイバーシティの良い面・悪い面の両方を感じて帰ってこれたこと、そして、まさに閉会式のパフォーマンスを通し、様々な人々と関わってきたことなど、特にロンドン2012大会以降は、オリンピック・パラリンピックが持っているダイバーシティ、あるいはインクルージョン、日本語でいうと共生社会、包摂、この観念が非常に重要になってきているのだなと実感した次第であります。
そのダイバーシティやインクルージョンを促進していくためには、やはり、いろいろな人が参画をしていくこと、エンゲージメントしていくことがオリンピックムーブメント、パラリンピックムーブメントの方向性であり、ダイバーシティ、インクルージョンを確実なものにしていき、促進していくのだろうということを、皆さんの第二部のシンポジウムを聞いていても感じました。多様な人々の意見を聞いていくことは、多様な人々の価値を守っていくことにもなりますし、それがまさにオリンピックの理想というものを実現していくことになるのだろうと思いました。

話は変わりますが、先日イギリスはEUを離脱しました。ロンドンオリンピック・パラリンピックをやって4年後にEUを離脱する、これは私にとっては非常に衝撃的な事件でありました。また、最近のニュースで話題のアメリカのトランプ政権誕生により、欧米を初め、世界は確実に保護主義、つまりダイバーシティを否定していく方向に向かっていくのだろうと思います。
このような中では、私たち、日本の果たす役割が極めて大きいのではないかと思います。東京2020大会を通して、ダイバーシティが大事なんだ、他者への貢献が大事なんだ、ということを若者が声をあげていく、これが今はとても大事になっているのではないかと思うのです。スポーツが、オリンピックムーブメント、パラリンピックムーブメントが、果たして、こういった国際政治の課題をどう切り拓いていくのか、今日はその出発点かもしれません。

実は、つい先日、IOC会長のトーマス・バッハ氏に筑波大学にお越しいただき、学生向けに講演をしていただきました。その時、オリンピックアジェンダ2020は、社会とのつながりをいろいろな形で作り、ダイバーシティを認め、オリンピズムのもとに統一をして進んでいきましょうという、というオリンピックムーブメントを示したものであるとおっしゃっていました。そのアジェンダ2020の具体的な成果が表れるのが2020年の東京なんだと、はっきりと言われました。2020年を通して、ダイバーシティやインクルージョン、そうした価値をいかに我々がきちんと世界に発信できるのかを試されているのではないかとも思いました。そういうことを含めて、スポーツの素晴らしさ、オリンピックムーブメント、パラリンピックムーブメントの大切さ、そして、そこに参画していくことの大切さ、というものをいろいろな形で示していっていただきたい思います。こちらをもって、私の講評とさせていただきたいと思います。どうも、ありがとうございました。