室伏広治選手×国枝慎吾選手 トップアスリート対談!(第3回/全3回) 

取材・構成 スポーツライター 増島みどり 
写真協力=陸上競技マガジン(ベースボール・マガジン社)

国枝:ボクの願いはたったひとつなのです。この競技をひとつのスポーツ競技として見て欲しい。パラリンピックを純粋にスポーツだと評価し、楽しんでくれるお客さんで競技場を埋め尽くしたい。ロンドンパラリンピックは、ファンが純粋にスポーツを楽しむ感覚で観ていたからこそ大成功を収めた。ボクが金メダルを取っても、日本ではテニス選手として評価されるんじゃなくて、障がい者が車椅子テニスをしてまで前向きに頑張っているのが偉い、感動する、と言われてしまう。どこか同情の対象なんですね。

室伏:それは違いますね。これは実に面白いスポーツです。私のハンマーは、7.26kmの鉄球をサークルの直径2.135mで回し、投てき方向の角度、34.92度から出ればファールと決められている。これは全て「条件」です。ではサークルを氷にし、少し広げたとする。私は、回転軸が小さく、速く回れる浅田真央選手の回転には勝てませんし、角度が180度まで広がったとすれば別の投げ方をする選手が勝つでしょう。同様に、障がい者スポーツではなく、例えば車椅子でテニスをするという「条件」で闘う競技だと思う。健常者とか障がい者ではなく、同じアスリートとして、ある「条件」を与えられた場合、どう最大パフォーマンスを出せるかではないでしょうか。

国枝:本当にその通りだと思います。東京でパラリンピックが開催されたら、ボクは観客の皆さんにそれを全力で伝えたい。「障がい者なのに頑張っている」のではなく、アスリートとして同じ土俵で、同じに見てもらいたいんです。東京開催は、そのためにも最高の舞台になると思います。

室伏:そのためにも東京に来てもらわないと。この対談を機にまた、今度はちょっと真剣にテニスをやってみようかなと。世界No.1プレーヤーが目の前にいらっしゃって、是非教えてもらいたくなりましたよ。

国枝:今度、室伏さんの試合も実際に見てみたいですし、テニスもやりましょう。何だかとんでもないサーブが来そうで怖いですけれど。


(終わり)



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対談の様子

写真提供:陸上競技マガジン(ベースボールマガジン社)