国連難民高等弁務官事務所親善大使 ユスラ・マルディニ氏が東京2020組織委員会を訪問

東京2020組織委員会スタッフに向けて話すユスラ大使

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)は、2017年8月29日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)親善大使でもありリオ2016大会に難民選手団として出場したユスラ・マルディニ氏を虎ノ門オフィスにお迎えし交流イベントを開催しました。

交流イベントでは、マルディニ親善大使を中心に、ダーク・ヘベカーUNHCR駐日代表、オリンピアンの伊藤華英東京2020組織委員会広報局広報部戦略広報課係長、杉尾透東京2020組織委員会国際局国際渉外部プロトコール課長が囲み、マルディニ親善大使のアスリートとしてのオリンピックへの想いや、親善大使としての取り組みについてお話しを伺いました。

マルディニ親善大使は訪日が初めてとのことで、日本の第一印象について、「とにかく清潔で素敵な場所。日本の人々が温かく迎えてくださったことを大変うれしく思います。」と述べました。

マルディニ親善大使は父親の影響で水泳を3歳から始め、シリアでの練習環境について、「シリアには世界選手権やパラリンピック大会を開催したことがあるオリンピック仕様の50mプールがあり、そこで練習をしていました。シリアには多くのプールがあるが、施設よりもスポーツクラブがなく、指導者不足の問題があり、1日1回、2時間の練習しかできませんでした。」と話しました。

また、オリンピアンである伊藤に対し、「長年やっていた自由形から背泳ぎに種目を変えるのは難しかったのではなかったか。そのモチベーションはどこにあったのか、やはりオリンピックに出たいという気持ちだったのか。」と同じアスリートとして質問し、オリンピックへ出場したいという気持ちが原動力となっているという回答に、「私だけではないのですね。」と共感していました。

マルディニ親善大使は、様々な逆境があった中でどのようにして水泳への情熱を保ち続けていたのかという質問に対し、「何が何でも水泳を続けたいという思いがありました。ドイツに渡ってからも、頑張ってここまで水泳を続けてきたのだから、ここでやめるわけにはいかないという気持ちで水泳を続けてきましたが、リオ2016大会に出場してからは、自分のためだけでなく、自分を支援してくれる大勢の方々、また世界中の難民の人達の分も頑張らなくてはいけないのだなという気持ちになりました。」と話しました。

昨年のリオ2016オリンピック競技大会で初めて難民選手団が結成され、マルディニ親善大使も長年の夢であったオリンピックに参加しました。リオ2016大会に参加したことで何か変化があったのかという問いに、マルディニ親善大使は「実際に難民選手団として出場することが決まった時は抵抗がありました。難民という冠をつけられる以上、多くの人々にこの人は家が無い人なんだという見方をされるからです。ただ、私が難民選手団として出場すると発表されてから、多くの人から反響がありました。中には子供たちからのメッセージもあり、自分の行動が多くの人に影響を与え、勇気になっているのだとすごく実感することができ、考え方が変わりました。」と語りました。

最後に東京2020組織委員会の職員に向けたメッセージを求められ、「オリンピックは世界最大のスポーツの祭典です。その舞台にアスリートとして出場ができるように頑張っていきたいと思います。東京2020大会に出場した際には、少なくともトップ20に入りたいなと思っています」と東京2020大会への抱負を語りました。

交流会に参加した職員は、改めて、すべてのアスリートが様々な困難や逆境を乗り越えてオリンピック・パラリンピックに出場していることを再認識し、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる大会運営を行うべく、気持ちを新たにしていました。

ユスラ・マルディニ国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)親善大使 略歴

1998年3月シリア・ダマスカス生まれ。シリアで水泳を始める。2012年12月世界短水路選手権(トルコ・イスタンブール)に出場。2015年8月姉とともにシリアを脱出。 地中海での伝説的な救出の後に、ドイツに辿り着き、難民認定を受け、水泳トレーニングを再開。2016年8月難民選手団の一員としてリオデジャネイロ・オリンピックに出場。2017年1月世界経済フォーラム(ダボス会議)に出席。同年4月UNHCRの史上最年少の親善大使に任命された。

東京2020組織委員会スタッフに向けて話すユスラ大使 オリンピックエンブレムボードにサインをするユスラ大使 東京2020組織委員会職員伊藤係長とユスラ大使がお互いの経験を語っている様子 ユスラ大使、ダークUNHCR駐日代表を東京2020組織委員会職員杉尾課長、伊藤係長が迎え交流する様子