「東京2020アイディアソンVol.1」開催レポート

2016年11月27日(日)、東京2020大会の準備や運営における様々な分野での課題解決に向けて学生同士がアイディアを競い合うイベント「東京2020アイディアソンVol.1」が開催されました。「パラリンピックをテクノロジーで盛り上げよう」をテーマに、全国から33名の学生が集まり、車椅子バスケットボールの観戦を楽しむためのアイディアを出し合いました。事前に開催されたフィールドワークの模様と合わせて、当日の様子を報告します。

テーマ

Vol.1 パラリンピックをテクノロジーで盛り上げよう
~「車椅子バスケットボール × テクノロジー = ファン拡大」~

フィールドワーク

アイディアソンに先立ち、車椅子バスケットボールへの理解を深めるためのフィールドワークを2回開催しました。

フィールドワーク 1

今回の取り上げる競技である車椅子バスケットボールの知識と理解を深めことを目的として、11月21日(月)、リオ2016大会の車椅子バスケットボール試合映像の上映会を開催しました。

初めに、小瀧修日本車椅子バスケットボール連盟専務理事が、試合を解説しながら、ルールや競技用車椅子の特徴を説明しました。

続いて、室伏広治東京2020組織委員会スポーツ局長が「技術力向上やスポーツの見せ方、報道の仕方など様々な視点からアイディアを出してもらい、イノベーティブな東京大会にしよう」と参加者を激励しました。

試合を観戦した学生はチームに分かれ、複雑なルールや制限の多さといった課題を話し合い、アイディアの種となる課題を模造紙にまとめて発表しました。

  • 写真:参加者を激励する室伏広治東京2020組織委員会スポーツ局長
  • 写真:課題を話し合う参加者達

フィールドワーク 2

アイディアソン前日の11月26日(土)、埼玉県熊谷市で開催された「内閣総理大臣杯争奪 第45回日本車椅子バスケットボール選手権大会 関東地区予選会」を観戦しました。

コート際の席で、小瀧修日本車椅子バスケットボール連盟専務理事が、参加者に競技の特徴や見所を解説しました。参加者は車椅子どうしがぶつかり合う迫力や華麗なプレーに圧倒されながらも、メモを取ったり、スマートフォンで写真をとったりしながら課題を探りました。

試合終了後は各自が見つけた課題をチームで共有しました。もう少し試合を楽しめる雰囲気づくりが必要、ルールが複雑でわかりにくい、などの意見があがりました。

  • 写真:バスケットボール選手権大会を観戦する様子
  • 写真:試合を観ながらメモを取る参加者

アイディアソン当日

11月27日(日)、いよいよアイディアソンが開催されました。

基調講演

初めに、ゲスト審査員による基調講演が行われました。「パラリンピック」、「車椅子バスケットボール」、「テクノロジー」それぞれの視点からの課題認識やメッセージが講演を通じて参加者に伝えられました。

  • 写真:基調講演 山脇康日本パラリンピック委員会委員長

    まず、山脇康日本パラリンピック委員会委員長が、「共生社会」をキーワードにパラリンピックの理念や意義について触れながら、パラリンピック競技や大会を盛り上げるための課題や期待について述べました。

  • 写真:基調講演 小瀧修日本車椅子バスケットボール連盟専務理事

    次に小瀧修日本車椅子バスケットボール連盟専務理事が、競技の特徴や魅力に加え、観客動員を増やすための課題について競技運営の当事者としての考えを語りました。

  • 写真:基調講演 澤邊芳明日本財団パラリンピックサポートセンター顧問

    最後に、澤邊芳明日本財団パラリンピックサポートセンター顧問からは、テクノロジーを使ってスポーツを面白くする着想や考え方が、様々な実例を紹介しながら伝えられました。

アイディエーション

基調講演に続いて、アイディアを出し合うアイディエーションが行われました。まず、参加者が二人一組でペアになり、お互いのアイディアを披露しつつ相互に気づきを与え合う「スピードストーミング」が行われました。スピードストーミングを行うことで短時間に相手を代えながら対話を繰り返し、様々な人の考えをインプットしつつ自分のアイディアをブラッシュアップしていきました。

写真:二人一組のペアで行った「スピードストーミング」

参加者は、対話により磨かれたアイディアを絵や図形、擬音などで表現するアイディアスケッチによって、参加者全員が3枚以上のスケッチを描き、自分がよいと思ったアイディアを表現していきました。

写真:アイディアを絵や図形、擬音などで表現するアイディアスケッチ

グルーピング

描かれたスケッチは全て机の上に並べられ、アイディアを具体化するためのチームが作られました。参加者は、自分が良いと思ったアイディアごとに集まってチームをつくり、また、発案者が「どうしても実現させたい!」と思ったアイディアについても、発案者自らがメンバーを募ることでチームをつくり、合計10のチームが出来上がりました。

  • 写真:グルーピング アイデアが描かれた沢山のスケッチ
  • 写真:グルーピング アイディアごとに集まってチームをつくる様子

グループディスカッション

  • 写真:チームごとに行われたディスカッション

    アイディアをより具体的なレベルまで高めるために、チームごとにディスカッションが行われました。チームには学生だけでなく、実行委員会企業の社員がメンターとして参加し、学生と社会人の混成で白熱した議論が繰り広げられました。

  • 写真:アイディアから「モノ」を試作する様子

    アイディアは、最終的には「ダーティプロトタイプ」と呼ばれる成果物に形作られていきました。工作部材やおもちゃなどを材料にし、簡単な「モノ」を試作することで、生み出したい価値をより分かりやすく検討・表現できる効果が得られました。

発表

  • 写真:風船とボールを使ったプレゼンテーション

    そして各チームの成果発表です。10チームがそれぞれに与えられた3分のプレゼンテーションの中で、ダーティプロトタイプを用いながらチームのアイディアを審査員にアピールしました。

  • 写真:ダーティプロトタイプを用いた発表の様子

    プレゼンテーションでは、口頭で説明するだけでなく、ムービーや音声を使ったり寸劇をしたりするなど、チームごとに工夫を凝らした発表が行われました。

審査結果

審査員による選考や参加者の投票によって、次の3チームが見事入賞しました。

グランプリ賞

チーム「チーム0点」

ゴーグル型端末とVR(仮想現実)技術を使い、気軽に車椅子バスケットボールを体験する。車椅子には振動を伝える仕組みも搭載し、競技の激しさや迫力を体感してもらう。VRを使うことで車椅子1台分のスペースがあれば、街中や駅などで気軽に体験会を開催することができる。競技にあまり興味がなくとも、気軽に迫力を体験し、楽しいと感じてもらうことで、競技場へ足を向けてもらう。

  • 写真:グランプリ賞を発表される「チーム0点」
  • 写真:賞状を持って記念撮影をする「チーム0点」

スポンサー賞

チーム「幸せになりたい」

スマートフォンを使った装置を使って、会場を盛り上げる。スマートフォンを装着した車輪型の装置を、客席で車椅子を漕ぐように回し、その回転数に応じて事前にスマホアプリで登録した選手の「応援ポイント」がたまる。会場全体のポイント数によって、選手ごとのお気に入りの音楽が流れる新しい応援方法。応援のやり方がわからない初心者でも、会場で一体感をもって観戦を楽しむことができる。

参加者投票賞

チーム「パラパラファンタスティック」

競技会場に近づくにつれて、スマホアプリのファン向けの動画が徐々に完成されることで、会場までの道のりを楽しめるようにする。動画が完成すると選手のカードがもらえ、動画は会場内で交換できるようにし、ファン同士の交流を促進させる。

審査員コメント

宇陀 栄次 東京2020組織委員会チーフ・テクノロジー・イノベーション・オフィサー

良いアイディアがたくさんあり、中にはもう少し工夫すれば本当に実現するようなものもありました。そして、何よりも、今回大会を盛り上げていこうという第1回目の取り組みに参加していただいた皆さんに御礼を申し上げます。ぜひ、今後の取り組みにも参加していただき、皆さんの力で輪を広げていただき、歴史に残る東京2020大会にしていきたいです。今回参加された学生の皆さん、企業、団体に感謝申し上げます。

山脇 康 日本パラリンピック委員会委員長

本当にやってみたいと思えるアイディアがありました。短い時間にも関わらず良いアイディアをたくさん出していただき、皆さんの取り組みに感謝しています。参加していただいた皆さんには、今回経験したパラリンピックに関する経験を周囲に広げていただき、パラリンピックの会場がお客さんで一杯になるように今後も取り組んでいただきたいです。

小瀧 修 日本車椅子バスケットボール連盟専務理事

車椅子バスケットボールを初めて生で観戦し感動した方がいらっしゃると聞きました。また、競技の体験会に関するアイディアが出ていましたが、これは私たちも取り組んでいることでもあるので大変参考になる部分がありました。私たちとしても、盛り上がる具体的な策を今後も考えてきたいと思っています。そして、是非パラリンピックの会場が一杯になるように皆さんも周囲とともに足を運んでいただきたいです。

澤邊 芳明 日本財団パラリンピックサポートセンター顧問

面白い案がいくつもありました。入賞しなかったもののなかでも工夫次第で実現できるものがありました。色々なテクノロジーを使って、競技や会場だけではなく選手にフォーカスする視点も非常に面白かったです。今回参加して吸収した魅力を是非皆さんでシェアしていただきたいです。

写真:受賞者と記念写真

写真:参加者全員で記念写真

イベントの様子は、ダイジェスト動画でもご覧いただけます。

写真:ダイジェスト動画でイベントの様子を観覧できます